2006年11月
本社はバミューダにあるものの事実上はアメリカ企業であるProtoStarが248億円(USD210M)の資金を調達したようです。この資金は衛星の調達ならびに打ち上げに用いられ、その衛星はアジアで衛星放送サービスを提供する予定です。
なぜアメリカの、しかもまだ衛星を1つももっていない企業がアジアの衛星放送なのかという話もあるのですが、最初の衛星についてはかなりはっきりした背景があります。最初の衛星(ProtoStar 1)は他の会社向けだったものを転用しているのです。
ProtoStar 1は以前ChinaSat 8と呼ばれていました。本来ならばかなり前に打ち上げられている予定だったのですが、メーカー(SS/L、Space Systems/Loral)が政府(アメリカ政府)の輸出許可を得られず、ずっと打ち上げられないままになっていたものです。
(参考)
- ChinaSat 8の説明@googleキャッシュ
- ChinaSat 8の説明(というか誘導リンクのみ)@skyrocket.de
- ProtoStar 1の説明(中身は平気でChinaSat 8と書いてある)@skyrocket.de
アメリカ政府は90年代おわりに衛星輸出管理を商務省(Department of Commerce, DoC)から国務省(Department of State, DoS)に変更し、武器と同様の管理体制を敷きました。この結果、アメリカの衛星メーカーから他国の企業が衛星を購入する場合、衛星についての情報がトラブル時にも得づらいといった問題を起こし、アメリカの衛星市場におけるシェアは激減しました。この結果、アメリカ外ではヨーロッパの企業(AstriumとAlenia)が大いに躍進することになりました。
今回のProtoStar 1衛星は輸出ができないChinaSat 8を本来の中国向け衛星放送にうまく利用する方策といえます。しかしアジア衛星通信市場は国ごとの衛星通信企業が多数存在し価格競争が激しいことで知られており、今後ProtoStarが遠く離れた地域での市場でどのようにやっていくつもりなのか微妙なものを感じずにはいられません。
長くてごく一部の人以外には暗号にしか見えないタイトルですが、NASAの衛星候補リストに追加されたという話です。
NASAでは以前から小型の衛星について、通信や熱、姿勢制御、軌道制御といった衛星基本機能を提供する「プラットフォーム」(バスとも呼ばれる)についてカタログ化しておき、使うと判断したら調達できる準備を行っています。候補者を予め選んでおき待機させておくようなものです。対象は主に科学衛星と考えればいいでしょう。
なお、カタログといっても出来合いの製品がごろごろしていて注文すればすぐ来るというわけではなく、色々と開発する部分もある場合が多いはずですが、それでも一から開発するよりは早くなるようです。
このカタログ、あるいは衛星候補に仏伊の衛星メーカであるAAS(アルカテル・アレニア・スペース、Alcatel Alenia Space)の「プロテウス」(Proteus)というプラットフォームが追加された、というのが記事の基本的な内容です。プロテウスというのは世界中の海面高度などを計るジェーソン(Jason)などの衛星で採用されたもの。
いずれにせよ、国内にもメーカーがあるのに(実際、カタログにもいくつもの国内メーカのものが含まれています)他国の機種でも(採用するかはともかく)カタログに入れてしまうあたり、さすがアメリカ、スケールが違います。
Space Foundationという宇宙開発推進団体が行わせた調査で、2005年の数値となっています。
- 産業規模:21.2兆円(USD180B)
- 政府分:8.3兆円(USD70B)
- アメリカ政府分:6.7兆円(USD57B)
- 商業分:13兆円(USD110B)
アメリカ政府分が6.7兆円というのはNASA予算と空軍(USAF)予算をあわせても3兆円程度のはずなので大きいのですが、政府の諸部門による衛星通信利用などを全てあわせている結果でしょう。
ちなみに、これを他の業界と比較してみます。ネタは全て適当に検索した結果で、全て日本国内の数字なので、全世界で集計している上記の値とは基盤が違います。年度は可能な限り2005年度のものを使いました。
- パチンコ:29兆円(ソース1、|ソース2)
- 玩具・ゲーム:1兆1,940億円(ソース)
- うち玩具:6,975億円
- うち家庭用ゲーム:4,965億円
- 広告:5兆9,265億円(ソース)
- 「モバイルビジネス」(着信音、ゲームなどコンテンツ物と販売をあわせたもの):7,224億円(ソース)
- IT全体:11兆8,218億円(2006年予測値)(ソース)
- サーバー:6,667億円(2006年予測値)(ソース)
ちなみに比較上フェアじゃないので述べれば、日本国内の宇宙産業規模は2004年で2,188億円、最盛期である2000年の3,699億円から大幅に落ちています(ソース:手元にある紙のJAXA資料によります)。
HTV(H-II Transfer Vehicle)は開発中の国際宇宙ステーション(ISS)補給機ですが、これを回収する計画はなんとなくあったような……という印象でした。この記事によれば基本設計を来年度初めにも行うとしており、本当だとするとペースの早さに少々驚きですが、今回の判断の背景は記事によれば、
ESA's decision to investigate down-mass capabilities also spurred JAXA to act.
(ヨーロッパ宇宙機関(ESA)による物資降下能力開発決定がJAXAに決断を促した。)
だそうで。
自力で物資を宇宙から回収するという点では日本はヨーロッパよりは一応先をいっていると思うのですが、機関がつながっていないので成果を再利用するような連携もしていないといったところでしょうか?
ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は衛星メーカに2015~2025年の商用衛星像検討を依頼、これによりアリアン5の後継機をどうするか検討するようです。どこぞと違って少しはまじめに利用者のことを考えているようです。
アリアン5のデュアル・ロンチ(2機の衛星を同時に打ち上げることで1機あたりの価格を下げる)はスケジュールの融通が利きづらく(例えば相方の衛星が遅れるとまとめてスケジュール延期になってしまいます)微妙なところもありますが、次の世代でどういう構想を出してくるかは興味深いところです。
アメリカはエリア51砂漠に巨大なカーネル・サンダースが描かれ、「宇宙から見える世界初のブランド・イメージ」になったそうです。
面積が87,500平方フィート(約8,130平方メートル)で、見た目の縦横比が2:1なので、およそ127m×64mといったところでしょうか。かつて万里の長城は本当に宇宙から見えるのか、という話がありましたが、野暮は言いますまい。
描かれた場所が場所だけに、宇宙人が見るのかもしれません。もっとも、地球に来ている宇宙人なら既に人類社会に潜入してケンタッキーだろうがマクドナルドだろうが試しているに違いないと思うのですが……
グロナス(Glonass)はソ連版GPSですが、そのソ連が崩壊した際に放置気味になり稼動衛星数が激減していたものです。経済状況が回復した最近のロシアは衛星を補充(ただし、現在14機と必要数の半分強)すると共に国の機関がもつ車両へのGlonassナビゲーション機器搭載命令など、普及させるのに必死です。
今回の措置はナビゲーション導入の加速を狙ったものでしょうが、解除によりどの程度の精度が得られるのか書いてないのと、そもそも衛星が足りず常時ナビゲーションはロシア国内ですら不可能なことが難点といえます。
将来的に3システム(GPS、Glonass、Galileo)対応のカーナビが出る日が果たしてくるのでしょうか。値段が高いだけになりそうな気もしますが。
2,000万ドルが2,100万ドルになった、つまり5%の値上げと言えばそれほどすごいこともなかったりします。
個人的には値上がり分すら出せないことは言うまでもありませんが、だからこそお気楽にこうコメントできるわけでして。
アメリカ国内外で微妙な高まりを見せる国家宇宙基本政策ですが、ロシアのプーチン大統領がこれを批判していた模様。
でも、(上記記事で述べられている)パラノイアで過剰反応というよりはロシア内外の雰囲気を見つつ叩ける時は叩くというだけのように個人的には思えます。ロシアと中国は以前からアメリカの宇宙兵器配備論を事あるごとに批判してきており、普通の流れに見えます。
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