2007年05月
先日の「アメリカ軍、宇宙システム早期展開のための事務局を設置」で扱ったORS(Operationally Responsive Space(宇宙即応展開))に関連して、軍が2008年にはロケットをまとめて調達する準備を進めているとのこと。
ロケットの候補はOSCのミノトール(Minotaur、つまりミノタウルス)、SpaceXのファルコン1(Falcon 1)などだそうですが、打ち上げ成功実績があるのはMinotaurだけです。大型のロケットは大きすぎること(ORSの打ち上げ対象(ペイロード)は小さい)、またおそらく打ち上げに要する時間が長いことから、ORSには使えないのでしょう。Minotaur自体はミサイルを転用しているので比較的生産に有利ではあるのですが。
リサ・ノーワック(Lisa Nowak)元宇宙飛行士による誘拐事件に関連して、三角関係の渦中にいた男性宇宙飛行士ビル・オーフェリン(Bill Oefelein)氏が宇宙飛行士隊を解任、元の所属である海軍に戻されることになりました。
事件の公判は7月開始なので、今後もまだ当分話題が出てきそうです。
- 電子メール、NASA自身の戦略への見方を顕に(flatoday.com)
- 視点ぶれの拡大(spacepolitics.com)
- 一旦録画(レコード)ボタンを押せば、それは「記録(レコード)」になるのだ(nasawatch.com)(他、多数のエントリ)
NASA監査役ロバート・コッブ(Robert Cobb)氏の言動に関する問題に関連して、今はNASA局長と監査役の打ち合わせを記録したDVDが破棄されていた件が議会で証人喚問に至っています。主役は破棄を最終的に決定したマイケル・ホーレイ(Michael Wholley)氏。
彼は記録DVDの破棄について認めており、違法性は認識していなかったとの発言を行っていますが、この流れが再びCobb氏やMike Griffin局長に戻るのか、政治的流れに着目が集まるところです。
- 影響力ある上院議員、XMとシリウスの合併案の棄却を求める(news.com.com)
- 上院・反トラスト委員会議長、XMとシリウスの合併案について誤解(dmwmedia.com) 注意:この記事は論説で、筆者は合併案に賛成している
- ラティーノ(ラテンアメリカ系住民)のリーダー達、シリウスとXMの合併を強く賛成(prnewswire.com)
アメリカ上院の反トラスト委員会議長であるハーブ・コール(Herb Kohl)氏は反対意見を法務省とFCCに送り、一方ラティーノ連合(TLC)の理事会は賛成意見をFCCに表明しました。
前者は競争がなくなり消費者に不利益になるとし、後者は無視されがちなスペイン語系番組が充実している衛星ラジオの利益を支持しています。
特に後者はアメリカという国の今を映し出しており興味深いところです。
先日来日していたマレーシアのアブドラ・バダウィ(Datuk Seri Abdullah Ahmad Badawi)首相はJAXAにも寄っていたようです(23日。安部首相との会談の翌日)。
マレーシアが現在準備中の宇宙飛行士はロシアの協力によるもので、はっきり言えば兵器購入の見返りです。その意味でロシアからの支援は今回限りと考えられ、今後宇宙計画を進める上でのパートナーにはならないということでしょう。
近年アジア各国では宇宙開発への機運が高まっているところがいくつかあり、協力関係も色々です。韓国はロケット計画でロシアの支援をかなり受けていますし、インドネシアはインドと少し関係をもっています。全体的に最も積極的なのは中国ですが、同時に東南アジア諸国では中国の膨張に対する警戒感もあるでしょう。日本の活動はどうしても中国の影に隠れてしまいがちですが、マレーシアへの支援により実績が積めれば政治的に多少の意味が出るかもしれません。
あいにく、アブドラ・バダウィ首相の来訪はJAXAのサイトには載っていないようです。残念なことです。
ORS事務局というものがカートランド空軍基地(Kirtland AFB)に設置されました。
ORSとはOperationally Responsive Spaceの略で、要するに軍の部隊が必要とする時に素早く衛星などを投入、運用開始することです。例えば戦域の詳細地図を撮影、伝送することや通信帯域を確保することが主な対象となります。例えばTacSat-2などはORSの実証衛星という位置づけです。
とんでもない予算をもつアメリカ軍でも、今のところ全世界で十分な宇宙システムを使えるようにするのは不可能なため、必要な場所を重点的にサポートするというのがORSの背景といえるでしょう。
ORS事務局の設置はアメリカ軍のやる気レベルを示すものとして把握できます。現状では衛星調達期間もロケット打ち上げ準備もかなりのものなので、言うほどResponsive(即応的)ではありませんが、既存システムの調整や商用衛星の利用で当座をしのぐ分まで考えれば、統一的事務局は重要な組織といえそうです。特にORSには空軍だけでなく3軍にDARPA,NRO,MDA,NASAも加わっているため組織横断的な調整にも有利でしょうし。
The XM Outage: Interview with XM's Chance Patterson - Gearlog
XM、衛星ラジオ放送が一時途絶で取り上げたXM衛星ラジオのサービス中断は約1日で復帰したようですが、中の人(広報)がインタビューに応じました。
残念ながら、内容はごちゃごちゃ言うだけではぐらかすだけで、障害の本当の原因は一切不明なままです。わざわざインタビューに応じたのだから何か意味のある情報が出てくると期待するとがっかりします。
XM、衛星ラジオ放送が一時途絶で取り上げたXM衛星ラジオのサービス中断は約1日で復帰したようですが、中の人(広報)がインタビューに応じました。
残念ながら、内容はごちゃごちゃ言うだけではぐらかすだけで、障害の本当の原因は一切不明なままです。わざわざインタビューに応じたのだから何か意味のある情報が出てくると期待するとがっかりします。
記事中では明示されていませんが、内容はおそらくヨーロッパ委員会(EC)で決議された、宇宙政策の決議文PDFファイル(esa.int)そのままでしょう。
率直に言って読みづらい文章ですが、基本的にはこれまでの路線を確定させるという位置づけに見えます。
興味深い部分をいくつかピックアップしておきます。
(前書き)
HAVING REGARD to the United Nations Outer Space Treaty framework
(国連外宇宙条約フレームワークについて、これを配慮する)
XM衛星ラジオ放送において、ソフト異常による放送の一時停止が起こりました。
XMサービス最新情報(xmradio.com)
The problem occurred during the loading of software to a critical component of our satellite broadcast system, which resulted in a loss of signal from one of our satellites.
(不具合が起こったのは、弊社衛星放送システムの重要部分へのソフトウェアロード中のことで、その結果、弊社衛星のうち1機からの放送電波が失われる結果となりました)
"satellite broadcast system"という言葉が広いのですが、衛星にソフトウェアをアップロードした結果不具合に陥った可能性が高そうに思えます。
ジオオプティクス(GeoOptics)とは非政府組織で、地球科学者達により設立されたそうです(サイト内"About GeoOptics"より参考)。それが100機ものマイクロ衛星(おそらく数十kg)を打ち上げて、地球大気を細かく観測する計画を発表しました。観測技術そのものは既に実績があるそうです。
多数の利用者グループからお金を集めて計画を進めるとのこと。信頼性水準をあまり厳しく設定せず同じ仕様で量産すれば結構安くできるのかもしれません。ただ、最初の衛星打ち上げとして予定する2010年10月に10機を打ち上げるとしているのが気になります。ここまでの打ち上げ量だと、純粋なおまけ(piggyback)にするのは難しく、コストがかなりかかりかねないので。
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